Lypo TOSA糖鎖情報館

神津健一情報館を一新し、糖鎖やレシチン研究を中心に
予防医学や代替医療の最新情報をお届けします。

お問い合わせ
糖鎖情報館 > 糖鎖 > 自己免疫疾患と糖鎖

自己免疫疾患と糖鎖

私たちの体には、恒常性(体内をつねに元の健康な状態に戻そうとすること)を維持する働きが備わっています。免疫メカニズムでは、ウイルスや細菌などの外敵や老化したり傷ついた細胞など、健康を害してしまうもの(異物・非自己ともいう)を見つけて排除します。

ところで、排除したものが本当に排除すべきものかどうかは、どのように判るのでしょうか?細菌やウイルス・異物の侵入など、免疫サイクルの異常を正確に感知できるか否かは、実は免疫細胞の表面に存在する糖鎖の働きにかかっているといっても過言ではありません。
もし、免疫細胞の糖鎖に不具合があったら・・・
毎日100 個以上発生すると言われているガン細胞を感知できないと、ガンの増殖を防げません。
感染症もまた、侵食してしまいます。

 

免疫のメカニズム

免疫細胞には、さまざまな種類があり、すべての流れは各細胞によって分担されています。まるで兵士が一城を守るように、体内環境を護ってくれています。

免疫システムは、①感知(パトロール)→②攻撃(第一陣、第二陣があり、炎症反応を示す)→③終結の3 工程で成り立ちます。どの免疫細胞の表面にも糖鎖が存在し、①感知→②攻撃→③終結をP3 滑にする働きを糖鎖が担っています。

 

バトロールチーム

・樹状細胞

…敵(異物・非自己)を感知してリンパ球に伝える情報部隊です。

・マクロファージ

…死滅細胞や異物を回収する鑑識部隊です。(貪食作用)
分析情報は顆粒球に伝えて発動を依頼します。

攻撃チーム(第一陣)

・顆粒球

…大きな病原菌や異物を飲み込んで滅殺します。
3 種類(好中球、好酸球、好塩基球)あり、敵の種類や特徴に
よって得意なものが活躍します。

・NK細胞

…リンパ球の一種ですが、単独行動をする一匹狼です。
攻撃力は弱いものの、瞬発性に優れています。

攻撃チーム(第二陣)

・リンパ球「B細胞」

…主に細菌やウイルスなどに対抗するための
物質(抗体)を作り出し、身体を守ります。

・リンパ球「T細胞」

……ガン細胞などを攻撃する免疫の主力部隊です。
※キラーT細胞・・・強力な殺傷能力をもっェース的存在です。
※ヘルパ—T細胞・・・キラ—T細胞を活性化する援護役です。

終結宣言

・レギュラトリーT細胞

…攻撃を終了させる司令官です。

 

ここでアンテナの働きをする糖鎖不足が起こると、どのようなことが起きるのでしょうか。

感知(パトロール隊)は、近年、環境ホルモンや食品添加物、薬剤など多種のストレッサーの影響で大忙しです。多くのストレッサーは感知能力を鈍らせる原因であり、攻撃(②)への連絡ミスが起きることで過度な炎症を誘発する引き金になります。
終結(③)は、レギュラトリーT 細胞の1 種のみで対応しなければなりません。「攻撃終了!」と伝達するのも糖鎖同士のやりとりです。暴走した攻撃陣(②)が言うことを聞いてくれなかったり、はたまた、レギュラトリーT 細胞が終結宣言(③)を出さないミスが起きたら、攻撃(=炎症)を止めることができず、炎症はやがて火事のように燃え広がり、全身の自己免疫疾患を引き起こします。

自己免疫疾患である膠原病やリウマチなどの一般的な治療で使われるステロイド剤は、免疫系を全て抑制することで症状を軽減します。つらい症状を抑えるためには必要な治療法ではありますが、体の自己防衛反応である免疫系統を故意に抑制し続けることは、正常な免疫反応も失うことになり、他の疾患を引き起こしやすくすると言われています。これでは真の治療法とは言えません。

代替医療の現場では、糖鎖栄養素を摂取したことによって、免疫の異常反応が改善し、治らないとされた自己免疫疾患の克服につながったケースが多いことから、糖鎖栄養素の有用性が認められてきました。
また、研究の発展によって、終結宣言(③)をするレギュラトリーT細胞のサポートをするのが、腸内細菌叢(腸内フローラ)によってつくられるケトン体であることが明らかになりました。そのため、腸内細菌叢のバランス(とくに善玉乳酸菌、ビフィズス菌など)と糖鎖栄養素の補完が重要です。さらに、炎症を誘発するもう一つの要因には悪玉脂質がありますが、過度な炎症の抑制には善玉脂質(レシチンやオメガ3) が一役を担っています。

 

アレルギーと糖鎖

糖鎖くん
糖鎖くん
免疫システムにこんなに糖鎖が関わっていたなんて驚きだね!とこるで博士、アレルギーについてはどうなのかな?
アレルギーも同じことが言えるんじゃ。
“抗体”と言う言葉が出てきたが、抗体にはいくつか種類があって、lgE 抗体というのが花粉症やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、食物アレルギーに関わっているそうじゃ。アレルギー検査で、どの抗体が反応しているかで病気の発見やアレルギーの特定ができるんじゃ。
lgE は、皮膚や粘膜に多くあるマスト細胞にくつついておる。
アレルゲンが体内に入ってくると、これをやっつけようとlgE抗体が沢山つくられてマスト細胞から放出されるんじゃ。
博士
博士
糖鎖くん
糖鎖くん
抗体はミサイルにように敵をやっつけるんだよね!
アレルギーは咳やくしゃみ、痒みや炎症が起こるから、本当に戦っているみたいだね!
そうじゃな。しかし、戦うことが決していいことばかりではないんじゃ。戦うということは、傷を負い疲労物質や活性酸素が沢山発生するじゃろ。
充分な休息をとれないうちに次の戦いが起きたら、細胞はどんどん疲弊し、やがて正しい判断ができず誤作動が起きやすくなる。lg E 抗体の誤作動が起きるほど他の免疫システムにも誤作動が起きやすくなるんじゃ。
免疫メカニズムの3 要素はなんじゃったか覚えておるかな?
博士
博士
糖鎖くん
糖鎖くん
感知(パトロール)⇒攻撃⇒集結だったよね。
そうじゃ。その連絡・連携を図っているのが糖鎖じゃ。
糖鎖は、免疫細胞の連携(ネットワーク)において最も重要なものなんじゃ。
どこかに誤作動が起きているということは、糖鎖が足りていないこととも言える。細胞は毎日、代謝(死滅し再生すること)しているから、糖鎖も補充していかねばならんのじゃ。
博士
博士
糖鎖くん
糖鎖くん
そうだね!糖鎖を補ってあげなきゃ、それぞれの免疫細胞もスムーズに作動できなくなってしまうね!

 

間質性肺炎と糖鎖

間質性肺炎とは?

肺は、直径0.1~0.2mm ほどの肺胞と呼ばれる小さな袋がブドウの房のように集まってできているスポンジのような臓器です。ブドウの茎が、空気を吸い込む気管支に相当します。肺胞の壁はとても薄く、毛細血管が網目のように取り囲んでいます。吸い込んだ空気中の酸素は、肺胞の壁から血液中に摂り込まれます。

間質性肺炎は、この肺胞の壁や周辺に炎症が起こる疾患です。この病態になると血液に酸素が摂り込めず、動脈血液中の酸素が減少した状態となり呼吸が苦しくなります。症状が一時的で治る場合もありますが、進行して肺線維症になってしまう場合もあります。

間質性肺炎は、現在までに以下の原因がわかっています。

・皮膚筋炎、多発性筋炎
・強皮症
・関節リウマチなどの膠原病
・アスベストの吸入
・医薬品・・・抗ガン剤(経口剤、点滴用剤)、抗リウマチ薬、インターフェロン製剤、
漢方薬(小柴胡湯など)、解熱消炎鎮痛薬(アスピリン、サリチル酸など)、
抗生物質、抗不整脈薬(アミオダロン)、総合感冒薬(かぜ薬)

 

原因不明のものを「特発性間質性肺炎」と言います。
間質性肺炎の根本的治療はないと言われている中、糖鎖が注目を浴びています。

糖鎖は、身体の内外の異常を感知するとともに、修復機能を発揮するように各組織に情報を伝えます。さらに修復に関わる全ての細胞にも十分な糖鎖(受容体・アンテナ)が存在することによって適切な自己修復が促されていくと考えられています。
空気中には目に見えませんが、多くの細菌やウイルス、化学物質が浮遊しています。
その種類と量は年々増え、環境汚染は悪化の一途をたどっています。その中から酸素だけを身体に摂り込むことは容易ではありません。肺は、有害物質を体内に入れないようにフィルターの働きをしていますから、たくさんの有害物質が肺を傷つけてしまいます。そのため生まれ変わるにも時間がかかる組餓です。糖鎖を含め肺胞のメンテナンスは十分にしておくことが大切です。

また、疾病や服薬による副作用として間質性肺炎へ移行するケースも年々増えてきています。第4 章「自己免疫疾患と糖鎖」のメカニズムとともに、もっとも糖鎖に負担がかかる肺組織に影響が出ているのかもしれません。