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【やさしい解説】摂り方で効果は大違い?シアル酸やフコイダンを単体でとってはいけない理由

長年の健康ブームを牽引してきた数々の成分は、実は細胞のアンテナである糖鎖の構成成分です。

わたしたちの身体の最小単位である細胞は、表面に「糖鎖」というアンテナをもっています。このアンテナがきちんと働くことで、ウイルスを感知し免疫機能を高めたり、ホルモンを受け取って体内の反応を進めることができます。

希少性が高く根強い人気のスーパーフード…実は糖鎖に関わっている?

糖鎖をつくる成分として、最も有名なのはシアル酸(N-アセチルノイラミン酸)ではないでしょうか。

ツバメの巣から少量しか採れないという貴重な成分で、絶世の美女といわれる楊貴妃も愛飲していたことで知られています。

美肌やエイジング効果だけでなく、抗ウイルス・抗菌作用も知られており、インフルエンザの治療薬「タミフル」は、シアル酸の構造を参考に作られたと言われているほどです。近年では、母乳にもシアル酸が含まれていることがわかり、記憶や学習といった脳の働きに関わっていることも報告されています。

その他には、フコイダン(フコース)も同じく糖鎖をつくる大事な成分の一つです。

フコイダンは海藻類に含まれるぬるぬる成分。腸内環境の改善や免疫をサポートする作用が報告されています。フコイダン自体が発見されたのは1913年と、実はかなりの歴史をもつ成分でありながらも、今なお研究が進んでいます。最近では、がんの標準治療と併用して、フコイダンを摂取する療法も発見されているほどです。

このように、健康食品で根強い人気を誇るスーパーフード。一見それぞれの成分がものすごい作用をもっているように感じますが、元を辿ると実は糖鎖の働きにリンクしていることが多いのです。

つまり、糖鎖がしっかりと機能することが、免疫や抗老化をはじめとした健康づくりのカギになると言えます。

その摂り方で大丈夫?栄養素の相乗効果で利用効率を高めよう

どんな栄養素も、単体で摂るよりも複数を組み合わせて摂ったほうがいいというのは今では常識になっています。体内では、お互いが助け合いながら効果を発揮するからです。

例えば抗酸化ビタミンとして知られるビタミンCなどは、体内でせっせと活性酸素を減らすために働きます。単体のビタミンCであれば、役目を終えた後は抗酸化力を失ってしまいます。

しかし、同じく抗酸化力のあるビタミンEが一緒にあることで、ビタミンCの抗酸化作用を助け、その働きをリサイクルしてくれるのです。

このように、ビタミンCとE、カルシウムとビタミンD、ビタミンB群など…組み合わせは多岐に上りますが、栄養素はそれぞれ助け合い、お互いの働きを増強しています。

これは、糖鎖栄養素にも言えることです。糖鎖をつくるための栄養素は8種類あります。

これらを単体で摂った場合・8種まとめて摂った場合では、体内の作用が全く異なっていたのです。シアル酸やフコイダンといった、単体でも多くの効果が期待されている成分も、まとめて摂ることでさらなる力を引き出す可能性があることがわかりました。

単体栄養VS複合栄養。糖鎖栄養素にも当てはまる?実験データを解説!

実験では、糖鎖の働きである抗老化作用が、単体で摂った場合と複合で摂った場合で異なるのかを調べました。

マウスを使って、老化マーカーといわれるβ-ガラクトシダーゼを測定しました。

メモ

マーカーとは

病気のなりやすさや身体の状態、栄養の吸収のしやすさなどを調べるとき、その性質に関係する“サイン”のような物質を見つけて測ります。このサイン(目印)が「マーカー」と呼ばれています。マーカーを見ることで「この人はこういう傾向がある」「この細胞は今こんな状態だ」と判断します。

β-ガラクトシダーゼとは

細胞が年を取ったときだけ増える“老化のサイン”となる酵素です。細胞が若いうちはほとんど見られませんが、老化が進むとこの数値が高くなります。そのため研究では、「細胞がどれくらい老化しているか」を調べるときの“老化の目印”として使われています。数値が低ければ低いほど、「若い細胞」だということができます。

メモ

* マークの意味

グラフやデータの上にある「*」は、“意味のある差が出た”という印です。
研究では、結果が「たまたま」ではなく「本当に差がある」と言えるかどうかを数字(P値)で判断し、その数字がある基準よりも小さいときに「*」をつけて示します。
今回のデータでは「p<0.05」。“この違いが偶然起こった確率が5%より低い”ということを示しています。つまり、“結果は偶然ではなく、信頼できる変化が見られた”と解釈することができます。

向かって左から2つが、比較用のデータです。

  • ・若い細胞(白) :数値がこれより低い・同等であれば抗老化作用があったと言えます。
  • ・老化細胞(グレー):数値がこれより高い・同等であれば抗老化作用がなかったと言えます。

この2つをコントロール群(基準用のデータ)とし、単体で摂った場合と複合で摂った場合とを比較しました。

その結果、複合で摂った場合のみβ-ガラクトシダーゼの数値が低いことが分かりました。糖鎖栄養素となる成分(フコースやマンノース、シアル酸などの単体栄養素)は、コントロール群である老化細胞の数値とほとんど変わっていませんでした。

今回は「抗老化」という働きで実験を行いましたが、免疫や脳への作用においてはどのような結果となるのか期待が高まります。

いずれにしても、糖鎖栄養素は単体で摂るのではなく8種類をまとめて摂ることでその働きが引き出される可能性が高いことがわかりました。