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細胞のアンテナ「糖鎖」とは – 糖鎖が注目される理由 –

糖鎖とは?

私たちの身体を橋成する約60 兆個の細胞。細胞の膜にびっしりとついている産毛のようなものが「糖鎖」です。
8種類の糖がパズルのように組み合わさって鎖状に連なっています。

糖鎖の働きとは?

糖鎖の働きは、一言でいうと”細胞のアンテナ”です。テレビやラジオのアンテナと同じように、さまざまな情報をキャッチして正確に伝える働きをしています。

身体のなかでは、毎日のように細菌やウイルス、化学物質のような異物、有害なものがたくさん侵入してきます。「有害と判別→排除する→細胞の環境を整える」、この一連の流れは、細胞同士が「糖鎖」というアンテナを使ってコミュニケーションを取りながら行います。

また、免疫系、ホルモン系、神経系をコントロールし、バランスを保つホメオスタシスの原理(恒常性維持)には、「糖鎮」というアンテナが欠かせません。生命維持とは、細胞や組織がバラバラの働きをせず、協力しあって、それぞれの役割を果たすことで成りたちます。そのために「糖鎖」が必要なのです。

糖鎖は1つの細胞の膜に約10万本存在し、長さや組み合わせは様々です。

しかし現代人は、環境の変化や化学物質の過剰摂取、ストレスなどの影響により最近では糖鎖の数が40%以上も減少していると言われています。このことが、 生活習慣病や難病発症の原因とも言われています。

そこで糖鎖をつくる8 種類の栄養素を上手に摂ることで、故障したアンテナを交換して補強するように、糖鎖の再生に役立つことが判ってきました。糖鎖の補強と再生によって免疫機能が高まり、癌、アルツハイマー、糖尿病、精神疾患、代謝異常、発育不全、ホルモン調整、感染症対策、ストレスの緩和などに有効であったと、数多く報告されています。

食事で補いきれない糖鎖栄養素

8種類の糖鎖栄養素とは?

糖鎖は、自然界の動植物のほとんどに存在しています。タンパク質にくっついていると「糖タンパク質」、脂質にくっついていると「糖脂質」と呼ばれ、単糖や多糖類と表記されることもあります。糖鎖を構成する糖のことを「糖鎖栄養素」と呼び、8種類あります。


グルコース

グルコース

動植物の生命活動のエネルギー源で、食寧から摂取しやすい単襲類です。他の7 種類の糖鎖栄萱素とバランスよく摂ることで、糖鎖の補強に役立ちます。精白されていない穀類、根菜類、キノコ類に含まれます。

ガラクトース

ガラクコース

主に乳類に含まれています。乳羞には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル吸収を促進する働きがあります。食材では乳製品や甜菜、ツバメの巣に含まれます。

マンノース

マンノース

免疫系のマクロファージを活性化します。死滅細胞や体内に侵入した細菌やウイルスを消化して病原体の感染を阻止してくれます。食材では、キノコ、アロエ、サポテン、コンニャクなどに微量に含まれます。

キシロース

キシロース

殺菌作用や病原体・アレルゲンが細胞に結合するのを防ぐ働きがあり、防衛隊ともいわれています。食材では、穀物や植物の皮、キノコ、メープルシロップなどに含まれます。

フコース

フコース

ヒバマタという海藻の細胞壁に存在し、昆布のネバネバ成分としても知られるフコイダンから発見されました。肺など呼吸器系の免疫療法でも注目されています。食材では、藻類(特にモズクやひじき)などに含まれています。

N-アセチルグルコサミン

N-アセチルグルコサミン

健康・美容面でよく耳にするヒアルロン酸の素となる多糖類です。関節液や軟合`皮膚や血管、神経の弾力性を向上させます。食材では、ツバメの巣、カニやエピなどの甲殻類の甲羅に含まれています。

N-アセチルガラクトサミン

N-アセチルガラクトサミン

ガラクトースをもとに梅成された多糖類で、細胞間コミュニケーションに重要な役割をもちます。とくに感覚神経の適切な欄造に重要です。食材では、鮫軟骨、ツバメの巣やキノコに含まれます。

N-アセチルノイラミンサン

N-アセチルノイラミンサン

脳の発育に必要不可欠で、免疫系に関与しており、粘膜の粘度覇整をしながら細菌感染を防止する役割があるといわれています。コラーゲンの素にもなり器官の保護に役立ちます。ツバメの巣の他、健瞑な母乳に含まれます。


 

糖鎖栄養素の必要性

8種類の糖鎖栄養素の中で、食事から簡単に摂れるものは、グルコースとガラクトースです。糖鎖は、グルコースの研究を深く掘り下げるなかで発見されたのです。

グルコースとガラクトースを除く残りの6種類の糖鎖栄養素は、 本来は肝臓で合成されてきました。しかし、ストレスや環境汚染、食品添加物、薬剤などの影響で肝臓が弱っていたり、 合成するための酵素やエネルギーが足りない場合、 つくり出すことができなくなっていきます。それぞれの働きを見ると、 とくに免疫系の働きを担う糖鎖は、食事からは摂りにくい6種類が重要と言うことが分かります。そのため6種類の糖鎖栄養素も、何らかの形で外から摂取する必要が出てきました。

糖鎖の働きを具体的にみていこう

情報の受け取りと伝達

シナプスから放出された神経伝達物質を受け止める受容体が糖鎖です。糖鎖の数が多いとそれだけ多くの情報を受け 取ることができます。

キャッチボールでいうグローブが糖鎖ということです。グローブの性能が良いと、飛んできたボール(情報)を正確にかつ素早く、キャッチ&リリースできます。
そのため、糖鎖は身体の反射神経を高めることにつながっています。

情報の受け取りと伝達

神経情報伝達の正常化と高速化

ヒトの脳では、たくさんの神経細胞が神経回路をつくり情報を処理しています。その数なんと数千億個と言われています。
情報となる物質は神経伝達物質と呼び、アセチルコリン、GABAなどがあります。アセチルコリンやGABAなどは、神経細胞(神経組織)の中を電気信号(インパルス)で伝達されます。

神経細胞の膜にも糖鎖が存在しています。

糖鎖は、電気コードの絶縁体のような役割をもち、電気信号の漏電を防ぎ、情報伝達が容易に、速やかになるように働きます。もし、糖鎖が少なかったらどうなるのでしょうか?絶緑体がもろくなった電気コードは、電力が漏れてしまいます。

神経情報伝達の正常化と高速化

免疫作用

人間の身体は約60 兆個(最近では37 兆個とも言われるようになりました)の細胞でつくられ、細胞同士が情報を伝えあっています。もしも、いくつかの細胞の糖鎖に、情報がきちんと流れなかったとしたら•••その細胞は異常反応をおこし、異常な情報を周囲に伝えてしまいます。この聞き取りミスによる異常反応の連鎖が、病気となって現れます。

60 兆個の細胞は、日々生まれ変わっています。糖鎖は、新しい細胞が有害なものなのか仲間なのか、外から入ってきた食べ物(成分)が毒なのか栄養なのかを半リ別して、正し

く処理するためのアンテナです。

つまり、健康を維持するには、糖鎖が細胞の膜に十分存在していることと、それぞれの糖鎖がきちんと機能していることが重要と言えます。

血液型を作る

人間の身体を構築する60 兆個のすべての細胞膜の表面に、糖鎖がびっしりとついています。血液も細胞ですから糖鎖が存在しています。血液型は、その糖鎖の組み合わせの、ほんの僅かな違いで決まります。

血液型を作る

糖鎖研究とは

細胞に結びついている糖鎖は、情報伝達や免疫の正常化を果たすことから、さまざまな生理反応(妊娠など)や疾患研究に活用されています。その役割を大きくまとめると以下のようになります。

  • 血液型の決定(ABO型の発見)
  • 受精・着床に関与(不妊•発育不全)
  • 腫瘍マーカの指針(がん、特定疾患)
  • 脳神経のネットワーク(発達障害、アルツハイマー型認知症)