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【やさしい解説】マクロファージが「間質性肺炎」治療のカギに?実験でわかった糖鎖栄養素の新たな可能性。

わたしたちが呼吸できるのは元気な肺のおかげです。肺は小さな袋状のもの(肺胞)がたくさん集まってできています。この肺胞の壁には血管が張りめぐらされていて、その間で酸素や二酸化炭素の交換を行っています。間質性肺炎は、この肺胞の壁に炎症が起こり、壁が厚く硬くなってしまい、線維化してしまう病気です。進行すると酸素や二酸化炭素のやりとりができにくくなってしまいます。

指定難病として登録され、近年では患者数が増加傾向にあります。著名人(八代亜紀さんなど)が間質性肺炎で亡くなることもたびたびあり、テレビで取り上げられることも増えてきました。

マクロファージって何?

わたしたちの体の中には、菌やウイルスから身を守る「免疫機能」がそなわっています。その中心的役割がマクロファージです。

マクロファージは、「マクロ=大きい」「ファージ=食べる」という2つの単語が組み合わさってできた名前です。「たくさん食べる細胞」と名付けられたマクロファージは、その名の通り体の中をパトロールし、異物を食べる働きをしています。

マクロファージは、体のいろいろな場所に存在し、体内に入ってきたウイルスや細菌だけでなく、不要になった細胞などを食べて、健康を守ってくれています。

普段は温厚なマクロファージ。活性化すると?

通常マクロファージは穏やかに体の中をパトロールしていますが、ひとたび異物を発見すると、活性化してその働きを強めます。動きが速く活発になり、より多くの異物を食べるなど、「防御システム」を高めてくれるのです。

活性化されたマクロファージはM1型・M2型にわかれます。炎症を引き起こし異物をやっつけようとするM1型と、炎症を抑制し組織の修復を促そうとするM2型です。病気によって、このM1型・M2型の量が様々で活性経路が異なることがわかっています。

マクロファージと間質性肺炎

近年の研究では、間質性肺炎の患者にはM2型マクロファージが過度に増えていることが明らかになっています。本来、傷ついた細胞を修復するはずのM2型マクロファージですが、増えすぎることで、肺の修復を過剰にし、コラーゲンなどの成分を沈着してしまうことで肺の線維化を進行させてしまうのです。

そこで、増えすぎたM2型マクロファージをM1型に変えることが、肺の線維化を抑える治療法として注目されています。

リポ糖鎖はM2型マクロファージをM1型に変えることができるのか?

間質性肺炎の症状のひとつである線維化には、肺のM2型マクロファージが増えすぎてしまうことが原因です。そこで、マクロファージにリポソーム糖鎖を添加し、その変化を調べました。

結果として、リポソーム糖鎖の添加により、M2型マクロファージがM1型マクロファージに変換されていたのです!

実験では、すでにM2型に活性しているマクロファージをM1型に変換、つまり再構築されていることも判明しました。これにより、リポソーム糖鎖によって、一度活性したマクロファージも変換しなおすことができること・増えすぎたM2型をM1型にシフトすることで、線維化の治療につながることなどの可能性が示唆されました。

マクロファージはどう変化した?実験結果をやさしく解説

今回の実験では、M2型マクロファージに、リポソーム化糖鎖・未処理糖鎖をそれぞれ添加しました。

マクロファージのマーカーを測定することで、添加後にどう変化したかを推測します。

メモ

マーカーとは

身体や細胞の状態を調べるとき、その性質に関係する“サイン”のような物質を見つけて測ります。このサイン(目印)が「マーカー」と呼ばれています。マーカーを見ることで「この人はこういう傾向がある」「この細胞は今こんな状態だ」と判断します。

CD206とは

M2型マクロファージのマーカーです。発現量が多いほど、M2型マクロファージが多いといえます。

TNFαとは

M1型マクロファージのマーカーです。発現量が多いほど、M1型マクロファージが多いといえます。

CD206の変化(M2型マクロファージの量)

それぞれ以下の数値です。

  • ・control:比較用のコントロール群です。
  • ・M2 from MΦ:M2型マクロファージの測定結果です。(MΦ=マクロファージの略記)
  • ・M2 from MΦ+sugar mixture 0.01%:M2型マクロファージに未処理糖鎖を添加した結果です。
  • ・M2 from MΦ+Liposomal sugar mixture 0.01%:M2型マクロファージにリポソーム化糖鎖を添加した結果です。

結果をみると、未処理糖鎖・リポソーム化糖鎖を添加した群では、CD206(M2型マクロファージのマーカー)が減少しているのがわかります。

TNFαの変化(M1型マクロファージの量)

それぞれ以下の数値です。

  • ・control:比較用のコントロール群です。
  • ・M2 from MΦ:M2型マクロファージの測定結果です。(MΦ=マクロファージの略記)
  • ・M2 from MΦ+sugar mixture 0.01%:M2型マクロファージに未処理糖鎖を添加した結果です。
  • ・M2 from MΦ+Liposomal sugar mixture 0.01%:M2型マクロファージにリポソーム化糖鎖を添加した結果です。

結果をみると、未処理糖鎖・リポソーム化糖鎖を添加した群では、TNF-α(M1型マクロファージのマーカー)が上昇しているのがわかります。

つまり、糖鎖の添加により、M2型マクロファージの量が減って、M1型マクロファージの量が増えていることになります。間質性肺炎において、M2型マクロファージが増えすぎることが線維化の一因なので、未処理糖鎖やリポソーム化糖鎖が治療に役立つ可能性が高いことがわかりました。

マクロファージの分化や発現には、間質性肺炎だけでなく、アレルギー疾患など様々な病気で関連が報告されています。今後、負担や副作用の少ない治療の確立に、糖鎖の働きがますます期待されます。